とある外科医の独り言

病院に勤める外科医が病院での出来事や日常考えていることなどを綴ります

病院選びのポイント

いつもご覧いただきありがとうございます。

今日も特に変わりありませんでした。いつもと同じです。

皆さんは病院をどのように選んでいますか?
風邪等の軽い症状の場合、近くの診療所やクリニックに受診しますか?
それとも大きな病院を受診しますか?

その是非はともかくまず金銭面から考えてみましょう。

 

初診時選定療養費

大きな病院(200床以上)を紹介状をなしで受診すると初診時選定療養費というものを負担しなければなりません。(最低5000円)

初診時選定療養費 とは、「初期の治療は地域の医院・診療所等(かかりつけ医)で、高度・専門医療は病院(200床以上)で行う」という、医療機関の機能分担の推進を目的として厚生労働省により制定された制度です。特定の公費医療を受けておられる方や救急車で搬送時の場合等はご負担頂く必要はありません。

なので初診料282点(自費2820円、3割負担846円、1割負担282円)+初診時選定療養費282円+5000円、つまり最低でも5282円かかります。

ですが、まず近くの診療所やクリニックを受診した場合は初診料282点で済みます。もちろん検査や処方などがあれば負担は増えます。
また仮に大きな病院に紹介が必要な場合でも
診療所、クリニックの初診料 282点+紹介状250点(自費2500円、3割負担750円、1割負担250円)+大きな病院の初診料282点(自費2820円、3割負担846円、1割負担282円)しかかかりません。1割負担であれば814円で済みます。

金銭面では近くの診療所やクリニックを受診した方がいいという事になります。

 

大きな病院が込んでいる理由

ではなぜ大きな病院はいつも混んでいて、待ち時間が長くなるのでしょうか?これには患者さんの心理が大きく影響していると思います。
つまり大きな病院は安心だけど小さな所は不安だという心理です。

開業されてる先生のほとんどはある程度の経験を積んでから開業されることがほとんどです。私の周りにも開業された先生がいるのでよくわかるのですが、ほとんどの先生は真面目で優秀な先生が多いです。中には経験も知識もあまりなくお金の事しか考えないで開業される先生もいますが・・・。

ですからまず大事なのは地域で信頼できる開業医を探す事だと思います。まずは地域のかかりつけ医を受診し必要であれば大きな病院を紹介してもらえればいいのです。

ただ開業の先生も商売ですから再診料を稼ぎたいと思うのが人情です。最初から紹介していれば問題ないのに、自分のところで経過観察し状態が悪化してから大きな病院を紹介するという事もあります。
私達も良く紹介して頂くのですが、週末や連休前の紹介が多いのも事実です。
ですから本当に信頼できるか口コミなどを参考にしてみるのもいいと思います。

 

手術を受ける場合

手術を受ける場合はどの領域でもそうですが、その病院がどのくらい同じ手術をしているかが重要です。1年間に10件なのか100件なのか、この違いは大きいです。
手術をするとある一定の確率で合併症が起きます。例えば大腸癌の手術であれば癌を切除するために腸を切除するわけですが、切除した後は再建(腸をつなぎなおす)が必要になります。この場合吻合部(つないだところ)がうまく治らないという合併症が起きる事があります。
経験の豊富な外科医、病院ではこの合併症の発生率が低い傾向にあります。また合併症が起きた場合でもその後の対処方が優れている場合が多いです。
今は病院の診療実績に関する書籍も出版されていますのでそれらを参考にするといいと思います。 

 

今後の内容の参考にしたいので是非コメントをお願いします。